赤津焼を中心に、和食器の暮らしを探求する
土を焼いてできた和食器は「せともの」や「やきもの」「からつもの」と呼ばれていますが、その特徴で陶器と磁器に分けることできます。また、陶器の中でも、釉薬や焼く温度の違いで、土器、陶器、炉器(セッキ)と分けることが出来ます。知ってましたか?
陶磁器という言葉は、陶器と磁器を合わせて呼ぶときに呼ぶものです。
大きな陶磁器会社を除いて、陶芸作家・職人の窯元では、陶器か磁器のどちらかだけを作陶しています。
陶器と磁器の違いや特徴を知ることで、よりよく和食器を使っていくことが出来るようになりますよ。
陶器と磁器はそれぞれ異なった特徴を持っています。その特徴の違いが陶器と磁器の違いになります。
磁器以外のものを全般的に陶器と言いますが、ここでは吸水性がある素地に釉薬を施したものを陶器とします。
代表的な産地は、赤津焼、美濃焼、益子焼、唐津焼などです。
ガラス分の多い原料を、高い温度でしっかり焼き固めているので、ガラスに近い特徴を持ちます。
代表的な産地は、瀬戸焼(染付)、九谷焼、有田焼(伊万里焼)などです。
陶器よりも高い温度で焼くことで、ぎゅっと吸水性を小さくしたものです。
基本的に釉薬はかけませんが、備前焼ではやきものにわらを巻いた火襷(ひだすき)によって、赤い模様を付けたりします。また、薪の窯を使って、灰と炎がつくる自然模様をつけることがあります。
代表的な産地は、備前焼、常滑焼、伊賀焼などです。
比較的低い温度で焼いたものです。縄文式土器や弥生式土器などの昔から焼かれているものですね。最近では植木鉢などが土器になります。
伏見人形や博多人形などの土人形も土器に色を塗ったものですね。
陶器も磁器も原料は粘土です。粘土とは、こまかい石の粒子と水が合わさって、粘り気をもった土のことです(字のまんまですね・・)。小麦粉に水を混ぜると粘り気が出てくるのとおなじような感じです。
磁器の粘土を磁土、陶器の粘土を陶土と言いますが、現在は原料配合や窯の技術進歩により、原料の違いがそのまま、陶器や磁器にならないことがあります。
陶土は陶器に適していて、磁土は磁器に適しているのですが、それらを混ぜたり、焼き方を変えたりすることで粘土の種類に関係なく陶器や磁器を焼くことが出来ます。
原料で磁器と陶器を分けるのではなく、その特徴で判断するとよいと思います。
コラム:土ものと石もの
磁器と陶器の違いの一つに、原料が土であるか石であるかを差して、陶器を「土もの」磁器を「石もの」と呼ぶことがあります。
地球のマグマが地表に現れて固まると石(火成岩)になります。石は地球上の雨や風などで削り取られ(風化)し砂や土になっていきます。砂や土が雨によって流され、水底に溜まっていく(堆積)すると、その重さで固まって石(堆積岩)になります。堆積岩は地震などの地殻変動で地表に表れると、また、雨や風で風化し土になります。
つまり、土と石では場所と時間が異なれば、同じ原料でも土になったり石になったりしていると言うことです。
日本では、磁器の原料として使われたものが石の形で見つかることが多いのでこのように呼ばれるようになったのではないでしょうか。