赤津焼を中心に、和食器の暮らしを探求する
9月
11
2008
赤津焼とは?赤津焼は瀬戸焼の仲間赤津焼とは瀬戸焼の中でも赤津地区で焼かれる伝統的な釉薬を使った陶器の事です。 瀬戸焼は陶磁器の一大産地ですが、本業と呼ばれる陶器と新製と呼ばれる磁器に大きく分けることが出来ます。 赤津焼は本業つまり陶器の中でも尾張藩の御用窯の流れを持つ芸術性の高い伝統的な陶器を作っています。 最近は伝統技法をしっかりと継承しながらも、新しい器をつくる窯元が増えてきていますね。 赤津焼の場所愛知県瀬戸市の北東部の山里の中にあります。赤津町、窯元町、西窯町を中心に約70軒ほどの窯元が点在しています。 すぐ東には猿投山があり、日本で一番最初に釉のかかった陶器を生産したと言われる猿投窯はこの山にありました。 2005年の愛知万博開催に合わせ、高速道路が整備されたのでとても交通の便が良くなりました。でも、山間に見える高速道路は山里の景観にそぐわない感じがします。 赤津焼の歴史赤津焼の歴史の前に瀬戸の歴史、特に瀬戸焼の本業焼(陶器)の歴史をなぞってみたいと思います。 須恵器と瀬戸の地名陶(トウ・すえ)と言う字は中国では窯の事を示しており、陶器とは窯で焼かれた器のことで、やきもの全体のことを指しています。 瀬戸は「すえ(陶)のところ(所)」が「すえと」になり「せと」になったと言われており、「瀬戸」と言う漢字の地名は、14世紀の文献に登場しています。 やきものの事を「瀬戸物(せともの)」と言うことから、「瀬戸のやきもの」が 「せともの」と思われているところがあり、瀬戸がやきもの本家本元と言われることがありますが、「瀬戸」よりも先に「陶(せと)」の言葉があるので順番が逆のような気がしますね。
瀬戸の陶祖「加藤四郎左衛門景正」瀬戸には昔から陶祖「加藤四郎左衛門景正」(通称藤四郎)の開窯伝説が伝えられています。
古くから伝わる陶粗伝説をベースとしてに瀬戸の窯業の歴史や窯の分類などが行われてきましたが、近年の発掘調査による考古学研究の成果と陶粗伝説には矛盾する要素が多く発見されました。現在では陶祖伝説は伝説として受け止め、全てを否定するのではなく歴史資料の一部として考古学研究とあわせて瀬戸の窯の歴史や陶祖伝説の生まれた背景を明らかにしていくことになるでしょう。 美濃焼と瀬戸山離散国宝の志野茶碗(銘:卯花墻 うのはながき)など、今に残る桃山時代の茶碗には名品が数多く存在します。その中には瀬戸黒や黄瀬戸など「瀬戸」と名前のついたものが有り、これらは瀬戸で焼かれたものだと思われていました。 近年になって、窯の発掘調査などからこれらの器が美濃(岐阜県多治見市・岐阜県土岐市などの東濃地方)で焼かれたことがわかりました。 藤四郎以降本格的な施釉陶器を焼くことができる窯は瀬戸だと言ってよく、灰釉や古瀬戸釉(鉄釉)は高級品として広く流通しました。しかし、室町後期から戦国時代になると戦乱に巻き込まれ、避難するように陶工たちが瀬戸から離れていきました。これを瀬戸山離散と言います。
美濃には良質な土と、窯の燃料となる木材が豊富にあったことから、すでに瀬戸から移った陶工に呼ばれる形で沢山の陶工が移っていきました。そこで瀬戸の陶工たちによって焼かれたのが桃山時代の名品です。
尾張藩御用窯と赤津焼徳川幕府が開府し江戸時代になると、名古屋城を中心とした徳川御三家の尾張藩が作られ始めました。この尾張藩への陶器の供給源や御用窯などを目的として、徳川幕府により美濃から陶工が呼び戻され瀬戸村、赤津村、下品野村に窯を開きます。この後、赤津焼は尾張藩の御用窯と高級茶器から日常品までを作っていくことになります。 加藤民吉と染付焼御用窯として陶器を作っていましたが、他の産地や、九州の磁器などに押され大きく発展することはありませんでした。 そのころの瀬戸では、過剰生産をによる値崩れ避けるため陶家一軒につき、ろくろ1つの制限がありました。そのため、家長以外の兄弟は陶工になることが出来ませんでした。 当時尾張国熱田新田の開墾奉行だった津金文左衛門胤臣が、陶家の次男であった加藤民吉に磁器の研究をさせ、磁器の窯を熱田に開こうとしましたが、瀬戸の陶器に影響があると反対がおこり、やむなく瀬戸にて陶家の次男以下にやることになり、陶器を本業、磁器を新製と呼ぶようになりました。 磁器生産を始めましたが、思うようなものを作ることが出来なかったため、加藤民吉が磁器の最先端である有田の技術を習得するため旅立ちました。 加藤民吉は身に危険を案じながらも、3年後には瀬戸に戻ることが出来、瀬戸の発展に大きく貢献しました。加藤民吉はその3年後53才で卒去しました。 その後の瀬戸では、陶器を凌ぐ染付磁器の大産地となり、現在に至っています。
最終更新 ( 2017年 12月 23日(土曜日) 14:55 )
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